2017年12月31日

さりげなくある愛

2017年のはじめ、私はひとつ手放したものがあります。
それは私のピアノ。
ここ数年、私は重松さんのピアノコンサートとのコラボの為に何度もピアノをレンタルしました。譲っていただけるピアノはありませんか?と会場のためにピアノを探している時期もありました。だけど青い鳥の物語のように、実はピアノはすぐそばにありました。私はピアノを持っていました。
私は小学生の頃ピアノを習っていました。でも譜面が読めず、練習にも身が入らず、あまり上達しませんでした。最初に習った先生からはすごく怒られていました。2番目の先生はとても優しかったけど、やっぱり私はちゃんと練習しませんでした。ピアノの楽しさやおもしろさが分からなかったのです。
そして中学生になりピアノをやめてから、そのピアノはずっと置き去りにされていました。

今年になって家の都合で、どうしてもピアノを動かさなくてはいけない事になり、考えた末に私はピアノを楽器店さんに買い取ってもらうことにしました。誰かに譲るという選択肢もあったのですが、長年放置されていたピアノなので、きっとメンテナンスが高額になってしまいます。せっかくだからちゃんと綺麗に直してもらって、ピアノを弾きたいという人の元に旅立ってくれるといい。

ピアノは一昨年他界した祖母がプレゼントしてくれたものでした。実は私はピアノを手放すことになり、母から話を聞くまで、その事実を知りませんでした。なぜなら私の記憶の限り、祖母は一度も私にピアノを弾いて欲しいなんて言ったことがなかったし、祖母にピアノを聴かせた記憶もないのです。

引き取ってもらう楽器店さんにピアノの型番を知らせるために、ピアノの蓋を開けてなかを見ると、型番が見えました。ヤマハのYUA。ピアノのことはよく分からないけど、型番自体も立体的な作りで凝っていて、とても丁寧に作られているピアノのようだなと感じました。
その後ピアノの型番を調べてびっくり。当時なかなかに高価なものだったらしい。

祖母は若くして祖父が他界してひとり暮らしでした。看護師をしながら生計を立てていました。高価なピアノを買うのだって大変だったろうに、祖母はそんな気配すら見せず、いつもニコニコしていました。祖母は働き者で世話やきで、誰にでも与えるのが好きで、見返りを求めない人でした。お正月はいつも食べきれないくらいのご馳走を作って待っていてくれました。
祖母はただ、孫の私にいいピアノを買ってあげたかった、それだけで、私に何も求めなかった。
ああ、私はそんな風になれるかなぁ?
大きな大きな愛。

ところでピアノを引き取ってくださる楽器店さんは、私がここ数年ピアノコンサートを企画する時にレンタルでお世話になっていた楽器店さんにお願いしようと決めました。
そういえば何年か前のコンサートの時に、楽器店の若い調律師さんが、搬入したピアノを優しい眼差しで見つめながら一言「これ僕が直したピアノなんです。」と言っていたのが記憶に残っていました。ああ、あの方に直してもらえるのなら嬉しいな、そう思いました。

ピアノとのお別れの日はやっぱり涙が出ました。
子どもの頃はピアノが好きではなかったけど、今は弾けないけど、ピアノを聴くことは大好きです。そんな風に自分が変われた今だからこそお別れができてよかったのかもしれません。

こうやって振り返ると、いろんなことは本当にうまいこと繋がっている。
人生って不思議です。そしてあまりにもさりげなくそこにある愛ほど、気づきにくい。
そんなものに、もしかしたらこれまでも今もずっと包まれていたのかもしれないなと考えてしまう、大晦日の夜でした。

今年も一年ありがとうございました。
2018年がみなさまにとって愛にあふれる素晴らしい年になりますように。

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posted by ゆきこ at 21:05| Comment(0) | 日記