2018年01月22日

伝えたいひとつの言葉

もし、ひとつだけ言葉が使えるとしたら、何を伝えるでしょうか?
たくさんある言葉のなかから何を選びますか?

私はずっと前、アメリカへ留学していたことがありますが、それはそれは会話ができない学生でした。初めての語学学校の時に、ペアになって地図を見ながら英語で道順を説明する授業があったのですが、あまりにも喋れないので、コロンビア出身の女性に「この人は喋らないからペアを変えて欲しい」ときっぱり言われてしまった苦い記憶があります。
よく考えると、私は日本語でも道順を人に教えることが苦手です。だいたい言葉に詰まりながら、右、左を間違えて教えてしまう事がよくあります。日本語でできないことは英語でもできないものです。普段からおしゃべりでもないので、やっぱり英語で日常会話ができるようになるのも、すごく遅かったです。

そんな私も何年か経って、本格的に布のアートの授業に入れば、あまり喋らなくても作品を見て理解してもらえるようになりました。作品は私の言葉でした。
でも、やっぱり間違うのが恥ずかしくて授業中に積極的に意見を言ったりすることができませんでした。

留学して3年経つとさすがに自分も諦めが出てきて「ああ、私は英会話が上手くなることはないんだ。それなら下手くそなまま話していいんだ」と思い始め、間違っていても気楽に喋れるようになってきました。その時くらいからようやくアメリカ人のクラスメイトの輪の中に入れるようになった気がします。
ある授業で知り合った友人(女性)は金髪のベリーショートで、タトゥーにピアスにロックな感じで、でも口調がとても穏やかで優しくて女性らしくて、私にとても親切にしてくれました。私が英語を聴きとれないときは、ちゃんと説明してくれて、嫌な顔ひとつしませんでした。いつも可愛らしいジョークで周囲を和ませてくれていました。

そんな友人と会話をする時に、親切にしてもらった時のお礼が「Thank you」だけだとなんだか足りない。
私が一番伝えたいことってなんだろう?その時に素直に出てきた言葉が
「You make me feel happy」(あなたは私を幸せな気持ちにするよ)でした。
それを伝えたら、同じ言葉が返ってきて、なんだかジーンときたのを今でも覚えています。

日本語は自由に使えるだけに、ついついたくさんの言葉でごまかして、本当のことが伝わらないことってあると思います。本当に一番伝えたい言葉は何か?を知っていたら、大事な時にちゃんと伝えられるし、なんだか心のお守りになるような気がしています。

私は作ることでも、言葉を伝えたくて「ぬのことば」にしました。

届きますように。

当時の私の作品はとてもマニアックでエネルギッシュ。もう今ではこんな感じの作品は作れないなぁ。
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今の作品。たくさんの人との出会いで作風も変化してきました。自由に飛べるようになりました。
いつでも柔らかな、ことばを届けたい。
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posted by ゆきこ at 00:54| Comment(0) | 日記

2018年01月18日

その先へ

昨年末くらいに友人がくれたヤナギの枝。
「ふかふかなのが出てくるよ」と言われて、水をやりながら何気なく過ごしていたら出てきました。
こんな感じのふかふかだったとは!と見てびっくり。
想像してたものよりおもしろい。
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人生のその先を見に行って見ないと分からない。それはどんな花を咲かせるのだろうか?
自分は何を見つけることができるだろうか?

自分がやってみたいことをやった時、どんな風景が見れるんだろうか?
私はただ、それを見に行くだけでもいいんじゃないかなぁと思っています。
真っ白なノートの上にイメージしたものは、どんな光景になるんだろう?

まだブログではお知らせしていませんでしたが
昨年7月のモンネポルトでのライブと展示の風景を重松さんが演奏をつけてまとめてくれています。
ぜひ、youtubeでご覧ください。


不確かなもののその先を見に行きたい。
posted by ゆきこ at 11:25| Comment(0) | 日記

2017年12月31日

さりげなくある愛

2017年のはじめ、私はひとつ手放したものがあります。
それは私のピアノ。
ここ数年、私は重松さんのピアノコンサートとのコラボの為に何度もピアノをレンタルしました。譲っていただけるピアノはありませんか?と会場のためにピアノを探している時期もありました。だけど青い鳥の物語のように、実はピアノはすぐそばにありました。私はピアノを持っていました。
私は小学生の頃ピアノを習っていました。でも譜面が読めず、練習にも身が入らず、あまり上達しませんでした。最初に習った先生からはすごく怒られていました。2番目の先生はとても優しかったけど、やっぱり私はちゃんと練習しませんでした。ピアノの楽しさやおもしろさが分からなかったのです。
そして中学生になりピアノをやめてから、そのピアノはずっと置き去りにされていました。

今年になって家の都合で、どうしてもピアノを動かさなくてはいけない事になり、考えた末に私はピアノを楽器店さんに買い取ってもらうことにしました。誰かに譲るという選択肢もあったのですが、長年放置されていたピアノなので、きっとメンテナンスが高額になってしまいます。せっかくだからちゃんと綺麗に直してもらって、ピアノを弾きたいという人の元に旅立ってくれるといい。

ピアノは一昨年他界した祖母がプレゼントしてくれたものでした。実は私はピアノを手放すことになり、母から話を聞くまで、その事実を知りませんでした。なぜなら私の記憶の限り、祖母は一度も私にピアノを弾いて欲しいなんて言ったことがなかったし、祖母にピアノを聴かせた記憶もないのです。

引き取ってもらう楽器店さんにピアノの型番を知らせるために、ピアノの蓋を開けてなかを見ると、型番が見えました。ヤマハのYUA。ピアノのことはよく分からないけど、型番自体も立体的な作りで凝っていて、とても丁寧に作られているピアノのようだなと感じました。
その後ピアノの型番を調べてびっくり。当時なかなかに高価なものだったらしい。

祖母は若くして祖父が他界してひとり暮らしでした。看護師をしながら生計を立てていました。高価なピアノを買うのだって大変だったろうに、祖母はそんな気配すら見せず、いつもニコニコしていました。祖母は働き者で世話やきで、誰にでも与えるのが好きで、見返りを求めない人でした。お正月はいつも食べきれないくらいのご馳走を作って待っていてくれました。
祖母はただ、孫の私にいいピアノを買ってあげたかった、それだけで、私に何も求めなかった。
ああ、私はそんな風になれるかなぁ?
大きな大きな愛。

ところでピアノを引き取ってくださる楽器店さんは、私がここ数年ピアノコンサートを企画する時にレンタルでお世話になっていた楽器店さんにお願いしようと決めました。
そういえば何年か前のコンサートの時に、楽器店の若い調律師さんが、搬入したピアノを優しい眼差しで見つめながら一言「これ僕が直したピアノなんです。」と言っていたのが記憶に残っていました。ああ、あの方に直してもらえるのなら嬉しいな、そう思いました。

ピアノとのお別れの日はやっぱり涙が出ました。
子どもの頃はピアノが好きではなかったけど、今は弾けないけど、ピアノを聴くことは大好きです。そんな風に自分が変われた今だからこそお別れができてよかったのかもしれません。

こうやって振り返ると、いろんなことは本当にうまいこと繋がっている。
人生って不思議です。そしてあまりにもさりげなくそこにある愛ほど、気づきにくい。
そんなものに、もしかしたらこれまでも今もずっと包まれていたのかもしれないなと考えてしまう、大晦日の夜でした。

今年も一年ありがとうございました。
2018年がみなさまにとって愛にあふれる素晴らしい年になりますように。

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posted by ゆきこ at 21:05| Comment(0) | 日記